今日の夕方の帰宅

 スマホにこびりついてしまったガムを爪で擦りながら延伸寺の境内を歩いているとき、やたらフガフガいう音が前方地面あたりから聞こえたと思ったらそれはパグだった。

 パグを散歩させてるパグみたいな体型のおっさんとすれ違ってふと思ったんだけど、飼い犬にパグを選ぶ人っていうのは一体どういう考えがあってのことなんだろう。

 顔で選んだのか?小さい体にあの顔の犬、ペットにしたいか?それともすでに犬を飼ったことがある人が、2代目、3代目は変わり種を、ということで選ぶのだろうか、僕が最初はクラシックタイプのバイクを買ったけどたまにオフロードタイプを見かけると「いいな」と思うように。初手でパグを選ぶ人はいるのだろうか。その人はもしかしたら犬を飼いたいというより、パグを飼いたいと思ったのではないかな。それともパグを変わり種と決めつけているのは僕だけなのかもしれない。パグは全然変わり種なんかじゃないのかもしれない。普通はこういうのが犬っていうんだ、みたいな固定観念を僕が勝手に作り上げた上にそれを自分は世の中の人たちと共有できていると勝手に思いこんでいるだけなのかもしれない。

 

 境内から出ると坊主頭の高校生がやたら群がっているのが遠くに見えてなんだろうと思ったら最近リニューアルオープンした村木商店に群がっているようだった。そこ酒屋なのになんだろう・令和の時代もこんな大量の坊主頭が見られるんだな、の2点をいずれかの順で考えた。

 ふと境内へと続く脇道を見るとここでも向こうから犬の散歩がやってくる。チロチロと足を動かす、目玉が丸い小型の犬とその後ろから着いて来る飼い主のおっさん、その中年のおっさんはサンダルに上下白いジャージで……パグみたいな体型だったから、僕は嬉しくなった。

 小型犬の散歩紐は本当に細い。そしてだいたいピンと張っている。だいたいどの小型犬もグイグイと先に進もうとするから、飼い主の散歩紐はピンと張っているのである。

 あの瞬間を空から見下ろしたら、小型犬に引っぱられてピンと張った細い紐を握りながら悠々と歩くおっさんが、少なくとも二人見えたはずである。一人は境内の真ん中を、もう一人は境内から出る脇道を歩いている。ふたりのおっさんはお互いこんなに近くにいるのに、おっさん同士がこんなに近くにいるのを知っているのは僕だけなのである。


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 畳屋さんが店の前にゴザを出していた。前に買ったことがある。貼り紙を見て200円かと思って買ったら500円だった。5ってこんなふうに書くことあるの

 

 明るい夕方、何も思い煩うことなくブラブラと帰宅する、一生これが続けばいいなと思うから、それと正反対な環境に身を置こうとしていることに時々本当に不思議になる。

 

 

 

(※寺の名前は仮名です)

(※悪口が多い文章ですみません)